数学者の藤原正彦氏が最近の日本に憂いて書いた本。
「最近」といっても初版は2011年でちょっと前。尖閣諸島で中国の船が日本の船に体当たりした事件の一番ピリピリしていた頃だ。買った本は14刷、帯に30万部突破!!とある。結構読まれている。日本人の多くが思うところがあるのだろう。
内容は、東京裁判以降「自虐的歴史観」を植え付けられ、様々な良い伝統が崩壊している現代日本に「問題提起」と「エール」を送るといったものか。
特に印象的だったのは、戦前の満州国設立の部分。当時の満州は荒涼とした大地に馬賊が群雄割拠していて国としての体を成していなかった。だから当時の日本はそこへ進出し、国として整備しソ連の南下に対応しようとしていた。また、現代の価値観でそれは侵略行為と言われても仕方がないと書かれていた点。
今までここの部分がもやもやしていた。なぜ日本が大陸に進出する際、当時の人はそれに反対しなかったのか?と思っていた。今回そこがはっきり書かれていてスッキリした。
先の大戦は国と国の利害関係から発生したもので、どちらかが悪でどちらかが善とは言えないだろう。世界恐慌があり、ブロック経済化が進み、疎外され石油を止められた日本は戦争の道に進んだ。あと、当時コミンテルンが数多く工作していたと書かれていた点も初めて知り、勢力争いの血生臭さを感じることができた。
白人至上主義の中、アジアで唯一白人に立ち向かい世界中の人々に希望を与えた日本。
通勤で街を移動しているとき巨大なビルや走る自動車を見て「日本は何でこんなに発展できたのか?」と考えることがある。世界には200近く国が在って自動車を作れる国がいくつある?電車を時間通りに走らせる国がいくつある?日本が数少ない先進国になれたのは何なんだろうか。と考えてしまう。
これからわしらは何を守ってどう生きていけば良いのだろうか。
・まずは仕事を誠意をもってやること。
・人種差別をしない堂々とした人間。
・自国は自分たちで守る米国に依存しない。
・近代史を学ぶ。
等々
最後に、裏にどういった欧米の戦略があるのかは分からないが、こういった本が出版できる自由さは戦争に負けたから得られたものではないか?とも思える。
戦前の日本で権力に批判的なことを書いた本が出版できる自由さはあったのだろうか?
何が正しくて何が間違っているのか?自分の足りない頭で考えていくしかないよな。