ヒロニューのブログ

人生を充実させたいアラフィフ独身おじさんのつぶやきです。

大ぶろしきとリアルなディテール「三体3死神永生」

三体3を読了。
遂に三体シリーズは完結してしまった。


いや~

1はともかく、2も話が小さくなってしまった。

なんだよこのスケール感。原型が残ってない・・・。

 

hironew170109.hatenablog.com

 

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暗黒森林攻撃の抑止効果によって三体世界からの人類侵略を食い止めた前作で物語は完結していた。(未読の人は何のこっちゃ)

ここからどういった話を展開していくのか?が気になっていた。(1から2のときも同じ気持ちだったけれど)

物語は、2の面壁計画と並行して秘密裏に遂行されていた階梯計画の話から始まる。
この計画の目的は三体世界へ探査機を送り込んで向こうの情報を入手すること。3では計画を立案した程心(ていしん)という女性が主人公となる。
この程心へ大学時代から密かに恋心を抱いていた雲天明(うんてんめい)は不治の病で死を待つ身。彼女の関わる階梯計画に自分の脳を提供することを承諾する。

3は何か安っぽいメロドラマみたいな流れだ。

ゆくゆくはこの探査機の天明が人類を救うことになる・・・程心との愛の力!

なんて話になると予想していたが、そう単純ではないのが劉先生の作る物語だ。

 

 

<以下ネタバレは無いけれども未読の人は真っ白な状態から読んで欲しいかな>

 
今回は前回以上に主人公が冷凍睡眠によって何度も未来へタイムリープする。タイムリープする度に人類世界は高度に進歩している。

SF作家ってどれくらい大ぶろしきを広げられるかと思うのだけれど、自分だとどこかでブレーキをかけてしまう。そこまで書けない。まあ、そこが作者の力量。持っている想像力、創造力の差なんだろうけど。まあ、この劉さんはそこが凄い。躊躇せずにドーンと大ぶろしきを広げ切るところが素晴らしい。

光速航行推進、別次元、ミニブラックホール・・・と今回も様々な最新科学用語が今まで以上に登場するが、技術の副作用やそれに費やす時間など具体的な細かいディテールを添えることでリアリティがグンと増す。

ちょっと別のはなし。
この前出張で新幹線に乗っていた時、車窓から月が見えた。きれいな満月が定位置でずーっと追いかけてきていた。ふと子供の頃に見た本を思い出した。アポロ月探査のことが書かれていた本だったか。月とロケットの絵が描かれている。
「新幹線で月まで行くとしたら何日だっけ?一週間だっけ?」
スマホで調べてみる・・・約52日かかるとのこと。
「52日て。」
月表面の模様まで見えるのに・・・あそこまで行くのにそんなにかかるのか。
改めてイメージと具体的な数字から見えるリアリティから宇宙の広大さを実感する。
(もうひとつ、太陽をバレーボールの大きさとすると海王星は450m先を回っているそうだ)

三体を読むと、こういう具体的な驚きを実感できる。それが魅力の一つでハマった原因だったと思う。

最後は当初想像していた一億倍くらいは違う所へ行ってしまった。
全て読んでマラソンを完走した気分だ。とにかく読んだという感じ。(再読すればまだまだ新たな発見もあるのだろう)
三体シリーズ完結。ありがとうございました。

 

最後に。
この三体、NETFLIXでドラマ化決定らしい。
嬉しい反面、心配だ。
SF小説の文章だと情景をモヤっとざっくり頭の中にイメージできるけれど、映像化となるとしっかりとした具体的なものが必要となる。それがイメージと乖離するとがっかりする恐れがある。
直径8km長さ数百kmの円筒形の宇宙都市。中心には核融合の人口太陽・・・・ツリー状態の未来都市・・・

 

次はNETFLIXで答え合わせかな。