ヒロニューのブログ

人生を充実させたいアラフィフ独身おじさんのつぶやきです。

何を伝えられるか?何を残せるか?(生物はなぜ死ぬのか)

 

本屋でレジに向かう途中、目が行き思わず購入した。こういう予想外の出会いがリアル本屋の魅力だろうな。

来年50歳。もうすぐ死ぬ訳ではないけれど、生きてきた道も後ろに見えてきた。これからどう生きていくべきか?生物学的にどうなのか?生物の死について知りたいと思った。

内容は生物学者の著者が、最新の生物学の視点から生命の進化と死について書いているもので、養老孟子先生がよく「そうなっているんだから仕方ない」という現物からの説明は下手な哲学書より説得力がある。

 

まずは生命の始まりから。

地球は太陽との絶妙な距離から水を液体の状態で維持できた。その海で様々なアミノ酸核酸などの物質が出来、そこから「自己複製」する生命が生まれた。
文章で書けば簡単だけれど、生命誕生を例えるなら

「25mプールに腕時計の材料をばらまいて水をかき混ぜて動く腕時計が複製される」

くらい、もの凄い確率なんだそうだ。

RNA(リボ核酸)と呼ばれる遺伝物質が出来てそこから原核生物→真核生物→多細胞生物へと進化。生き物はますます多種多様複雑になり今につながる。


特に遺伝子複製のところが興味深かった。
らせん状のDNAがほどけて複製されるとき、まずRNAプライマーがくっつき、その後DNAが複製されるのだが、複製には方向性が決まっているそうだ。そもそもDNAがほどける起点は端じゃなく複製起点というDNAの中ほどから左右にほどけていくため方向性がふたつできる。DNAがほどける方向と複製される方向が同じ場合は、頭にRNAプライマーがくっつき、後はDNAを複製していけば良いのだけれど、逆の場合は頭にRNAがくっつき戻りながら複製、また少し行ったところにRNAがくっつき戻りながら複製される(岡崎フラグメントという)そうだ。その後RNAプライマーはDNAポリミラーゼでDNAに置き換えられ、DNAリガーゼでつなぎ目が補修される。構造上どうしてもDNAの端に複製できないエリアが出来るそうだが、そこの部分は遺伝子情報が無いエリアなんだそうだ。

これプログラムソフトじゃん!と意思があると思えるほどシステマチックだと感じた。
細胞分裂はDNAを複製するというざっくりとしたイメージだったが、ここまで細かい動きをしているとは驚きだった。(高校普通科では常識?)
こんなに驚いている自分の身体でも細胞内ではこの複製が行われている・・・。

ではタイトルになっている「生物の死」について。
なんで生物は死ななきゃならないのか?
それは「多様性」を維持するためらしい。変化する環境下で生物が生き残るためには変化に順応していく必要がある。(というか結果的にこうなった)それには常に変化したものを残していかないといけない。壊して作り直し壊して作り直して・・・。

ただ、人間は複雑な社会で生きる教育が必要となるため親は子を産んでも直ぐには死ななくなった。これも進化の結果のひとつだろう。

「自分の子供でなくとも教育に参加し、社会の質を向上させることが必要」ここの部分にぐっと来た。何かヒントを得たか。
最近は世界的にLGBTやマイノリティの人々を保護する流れがあるが生物学的に見ても、この多様性を尊重する運動は正しい流れなんだろうなと思えた。

たった一つの世代だからそんなに差は無いだろうが、生物学的に見ると親より子の方が進化している存在となる。若い世代は貴重な存在だ。
今までどちらかというと若者は嫌いだったが、この本を読んで少し暖かい目で見られる様になる気がする。

何を伝えられるか?何を残せるか?