今年年始にクロースアップ現代で放送され気になっていた。
本の主人公西川一三は戦時中から戦後にかけて中国内陸部からチベットへ抜けインドまで過酷な旅をした。日本に戻った後は岩手県に化粧品卸の店舗を構え淡々とした生活をおくった。元旦以外の364日毎朝同じ時間に起きてお店に出て17時に戸締りし馴染みの居酒屋で二合の酒を飲んで帰ってくる。これを繰り返した。
番組ではそんな佇まいがかっこいいと著者の沢木さんは言っていた。
旅のはなしは興味深いがそれ以上に帰国後の生活は何だろうと気になった。沢木さんは何がかっこいいと思ったのか?本を読むと何か分かるかなと思えた。
長大な旅を続けて行くことと、小さな町で毎日同じことを繰り返す日々は一見相反するものだと思うが、この本を読んで実は似ているものなんだろうなと思えた。
旅に出ると、生活が単純化されていく。その結果、旅人は生きる上で何が大切なのか、どんなことが重要なのかを思い知らされることになる。火がおきてくれれば湯が沸き、太陽の光を浴びれば体が暖かくなる。たったそれだけで幸せになる・・・・。(P101より)
西川は旅を続けていくうえで逞しくなっていく。終いには無一文でも托鉢をして旅を続けて行けるようになっていた。
足るを知る。
今の自分にはとても染み入る言葉だ。