以前、岡田斗司夫氏がYouTubeで紹介していて、いつか読んでやろうと思っていた。
今年のGWに読み始めひと月ほどで読破した。
ふ~。とても読み応えが有った。
「全ビジネスマン必読の新しい教科書」という帯の言葉が理解できる。
ブログに感想を書こうと思ったが、生物、歴史、経済、科学・・・と、書かれている内容が多岐にわたっていて頭がまとまらない。
折角なのでノートにメモをとりながらもう一度読むことにした。
うーむ。メモはメモでどんどん増えていく・・・。
下巻まで読んでいたらブログ更新が来月になりそうだし、前半の熱量が冷めそうな気がしたので、上巻を読み終えたここで一度ブログに残しておこうと思った。
内容はタイトルの通りサピエンス(人類)の歴史のはなし。
以下、特に面白いな~(怖いな~)と思った箇所を抜粋。
・他の人間の存在
今まで人間の進化のイメージは、背中の曲がったサルが猿人になって原人になって少しずつ背中が伸び、最終的に直立した人間になっていくものだった。(よく絵でみるやつね。)
人間だけが特別な一本道を進化しているものだと思っていたが、どうも違うみたいだ。
実際は進化の枝分かれでパラレルに他の種類の人間がいたそうだ。
ネアンデルタール人もそのひとつで、3万年前まで彼らは人間の隣に存在していたらしい。個別で見ると筋力、脳はネアンデルタール人の方が勝っていたのだそうだが「虚構を信じる力」を得た人間の方が集団では強く人間が全て絶滅させたらしい。また、他の種類の人間もすべて絶滅させた様だ。
そもそも人間は凶暴で他者との共存なんて考えない寛容性の無い生き物なのか。「虚構を信じる力」て、脳のどこの部位なんだろうと思えた。
・環境破壊について
地球規模の環境破壊は産業革命以降ここ100年位のことだと思っていた。それは間違いで、人間が突然変異で知恵がついた後すでに始まっていて、我々人間は大型哺乳動物を大量殺戮しながら世界に拡散していったそうだ。それは生態系を変化させるほどの大規模なもので、人間の進出と絶滅生物の痕跡が世界中で発見されているらしい。数万年前から人間そのものが地球規模の環境破壊者だったとは恐ろしい。
・農耕社会は決して幸せではない
今までは狩猟採集民より農耕民の方が食料供給が安定し幸福度が上がっていると思っていたがそうでもないらしい。(人間が麦を栽培化したのではなく、麦が人間を家畜化したという考え方が面白い)
個人の栄養状態や伝染病のリスクから考えると狩猟採集民の方が多様なものを食べ、働く狩猟時間は短く健康的な生活をしていたのだそうだ。農耕民の方が偏った食事をし長時間労働するようになった。人間全体の数は増加できたものの、個人の幸福は考えられていない流れだ。その延長に現代社会がある。今どうなんだろうと思える。
・神話
我々が正しいと思っている現代の思想(自由、平等、個人の人権)もひとつの考え方に過ぎない。古代のハムラビ法典も米国の独立宣言も同レベルで書かれていた。
長期休暇にバカンスに行くという考えもそもそも西洋のロマン主義の影響らしい。
どこかにいかなくてもいいのか。
・性差別、同性愛
地球上に別々に発生したどの文明どれ一つとして女性優位の社会を形成していないそうだ。そう言われるとそうだよな。女の敵は女という言葉を聞いたことあるけれど女性同士で協力して行くことは難しいのか?子供を産んで育てるというのはそれだけ大変だということか?でもボノボの社会は女性優先社会らしい。人間だけ何でだろうか?
同性愛の話も面白い。
自然不自然という考え方。今まで自分も同性愛は不自然だと思っていた。
著者が言うには生物学的に自然も不自然もなく可能性があることはすべて自然なのだそうだ。進化の過程からいうと各部の機能は違う使い方をしていくうちに変化していったもので使い方は固定できない。よってアナルセックスも不自然ではないのだ。なるほど。おもしろい考え方だな~。
・文化の矛盾
矛盾は文化の原動力という考え方。人間の成長も順風満帆でなく自分の中にある葛藤や矛盾が原動力になるのかなと思えた。
ここまで読んで「人間と社会」の発展は「遺伝子と生物」の関係と同じで「数を増やす」ことが正義だそうだ。人間社会の発展は人間個体の幸福は考慮に入れていない。人類の進歩は個人の幸福を向上させる方向に進んでいると思われるけれど、実はそうでもないと思うとどうもやるせなくなる。
そもそも人間の発生自体が凶暴で地球規模の環境破壊者と考えるとどうして行けばよいのか?と、根本から考えさせられる。
下巻に期待(もっととんでもないはなしになるんだよな。まとまるかな)