ヒロニューのブログ

人生を充実させたいアラフィフ独身おじさんのつぶやきです。

サピエンス全史の感想(下とそうかつ)

 

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

 

 

前記事から二週間半、再読とは言えやはり時間がかかった。

面白いもので「ブログに感想を書く」という目標があると、気持ちに張りが出てくる。(昔読んだロシアの短編小説に、独身の冴えないおじさんがコートを新調することで生活に張りが出てくるというものがあったが、似たようなものか?ブログありがとう)

 

さて、感想を書くかな。

やはりメモを取りながら読んでも内容の多種多様さを感じずにはいられなかった。

ざっとメモで赤字の部分を抜き出してみて修正しながらまとめてみるか。

 

下巻の流れをざっくり書くと

歴史(宗教、科学革命)→現代の問題(拡大する資本主義社会)→幸福論→想像をこえた未来社

といった感じか?

読む前にイメージしていたものと異なり途中の「幸せとは?」と幸福を追求していくところは意外な展開だった。

 

内容がボリューミーだったので消化不良だったが牛みたいに反芻してなんとか飲み込んだ。

 

 

・宗教とイデオロギー

人類史の大きな流れの中に必要となったもののひとつが宗教。

はじめ自然信仰にはじまり超自然的存在を信じるようになった人類。代表的な一神教キリスト教イスラム教など)への流れを解説していたが、「仏教は心のありように焦点を当てた別物イデオロギーに近い」と説明している切り口が面白かった。

更に代表的なイデオロギー自由主義社会主義ナチス)の説明が分かりやすかった。各々重要視しているものは、自由主義=人権、社会主義=平等、ナチス=純血。ナチスは当時の生物学研究からアーリア人の純血を第一に考えていたとは知らなかった。現代の最新科学では差異は無いそうだがそれを最終的な考えとしていたところが怖い。原理主義も同じだ。

ある程度柔軟な思考を持つことが健全ではないかと思える。ということは自由主義の考えも一つの主義なんだろうなと引いて感じることが大切だ。

 

・今の世界はただの偶然

歴史を調べているとなぜこうなったのか説明できないことがいくつかあるそうで、それをみていくと人類は決められた何か素晴らしい方向に運命的に進んでいるわけではないそうだ。ただ世界は巨視的にみると統一されて行っているらしい。

将来、異星人に出会えた場合、彼らはまったく違う考えの社会に生きているんだろうな。なんでそうなのと理解できないかもしれない。

 

無知の知

ここも興味深かった。人類の大きな転換点、科学革命(5百年前)について。ここで「無知」を認めたことが大きかったらしい。考え方の影響は大きい。

5百年前まで人類は技術を進歩させて生活を底上げしようという考えは無かったそうだ。当時はそれより昔の方が良い世界で、問題が在れば聖書や長老に道を求めていた。すべては知っている世界だった。

変わるきっかけはアメリカ大陸の発見で、聖書には全てが書かれているはずなのに、書かれていない未知の大陸が発見されたことは人類に大きな影響を与えた。そこから観察と実証の重要性が認識されるようになり「我々は何も知らない」というスタンスで世界を見るようになったのだそうだ。

「近代科学は観察結果を収集し数学的ツールを用いてそれらの観察結果を結び付け包括的な説にまとめあげる。」

確かに、現代社会では当たり前の「数字」で説明するところ。これが科学革命だったとは。

なぜ、ヨーロッパから広まったのか?素地があったからみたいなことが書かれていたけれど良くわからなかった。キリスト教の影響?

 

・資本主義社会の成長

将来の「信用」から元手以上の資金を調達していく資本主義の根本は「成長」。これのお陰で世界は豊かになっていったそうだ。大量消費社会。昔の奴隷制度よろしい動物虐待を利益追求によって無自覚にやっているところの問題が書かれていた。「芸能人ファッションチェック!」「おいしいお肉やさんベスト3!」これからどうなるのだろうか?

 

・幸福とは

終盤、本の内容は、これだけ進歩してきた我々人類は幸福になったのか?と哲学的な話になってくる。下手に知恵がついた自分は神様や主君など何かを心から信じて生きていた昔の人の方が幸せだったのではないか?と思うことが多い。生きていく上でこの本が何かヒントになればいいかなとも思っていた。

幸福とは「主観的厚生」である。(なるほどカントリーマームだな)

化学的にみると脳内電気信号の差である。いつも明るい人、いつも暗い人はこの差で生理的なものの差らしい。明るい人は羨ましいなとページを進めていくと「すべてに意味は無い」という味気ないところまで行ってしまった。ここで前述の仏教にはなしが飛んで「幸福を求めるな」という心の安寧、瞑想を勧められる。

 

 ・これからどこへ行くのか

最後に今後の人類は遺伝子組み換えや医療技術の発達今までにない方向へ進んでいくはなしとなった。これから様々なものが根本的に変わる想像できない世界になる。ここらの話が次の本「ホモデウス」につながるのだろう。

 

・さいごに

結局、感想はまとまっていないかもしれない。

ただ言えることは、最近は本を読んでもブログに感想をアップする気力が無いときが多いが、この本にはメモを取り、これだけのことを書かせてくれる熱量があった。それだけ下調べをしてまとめていった凄い本だと思う。良い本はこうだからこうと単純には言えないことが多い。(LGBTへの認識が変わったことが大きいかな。)これから更に染み込んでいくことだろう。

 

内容から著者のユヴァルさんはユダヤ人だけれど仏教を学んでいる人なんだなと感じた。 

瞑想してみるかな。

 

素晴らしい本をありがとうございました。