ヒロニューのブログ

人生を充実させたいアラフィフ独身おじさんのつぶやきです。

閉塞感からの崩壊(イニシェリン島の精霊)

最近観た映画で最も好きなのは「スリービルボード」。意外な話の展開、人物描写が秀逸だった。(以前ここにも書いた)

hironew170109.hatenablog.com


そのマーティン・マクドナー監督が撮った最新作。
ちらっと見た岡田斗司夫氏のユーチューブでは「タブーをよく描いている。これはアカデミー賞とる!」と絶賛していた。
これは観ておかないと・・・。
近場ではレイトショーしかやってないので倉敷の映画館まで行った。

<ざっくり内容>
百年前のアイルランドの島が舞台。そこで暮らす男パードリック(コリン・ファレル)がいつものように友人のカラム(ブレンダン・グリーソン)を飲みに誘うシーンから物語が始まる。(「ヒットマンズレクイエム」の二人)

コンコン!飲みに行くぞ!
・・・・・

昨日まで仲が良かったのに、急につれないカラム。
「今日からお前との付き合いはやめる」とのこと。
「俺何かしたっけ?」動揺を隠せないパードリック。
周りの友人からさぐりを入れるパードリックだったが・・・

 

 

え、なんでなんで?

と、自分も今まで何度か人に態度を急変されたことがある。

最近ではうつの原因となった会社の同僚だ。
昨日まで普通に話していたのに急に嫌な顔をされ、敵意を向けられるようになった。
その原因がはっきりしていれば謝罪なり対立なり対応できるけれど「よく分からない」てのは不安になり一番ストレスがかかる。それを思い出した。(結局わたしの仕事のやり方が気に入らなかった様だが急変したきっかけはよく分からない)

自分てのは他者との関係性から形作られるものであって、自分で自分は分からない。
鏡に映る顔が自分の顔と思っているが外にさらしている顔は逆だ。自分の顔を自分で見ることはできない。

物語の途中でパードリックが妹に「おれは島で一番馬鹿か」と尋ねるシーンがある。
自分も小学生の頃みんなが知っている歌を知らないことがあって、実は自分は馬鹿なんじゃないか?皆自分に合わせてくれているんじゃないか?と疑ったことがある。幸い大人になって会社にも入れているしそこそこ生活できているからそんなに馬鹿じゃないとは思っているが・・・。


なんといっても背景になっているアイルランドの自然が美しい。
荒れた海に張り出した断崖絶壁、緑の丘、平べったい石を積み上げて作った石垣、素朴なつくりの家、童話の世界に入り込んだような素晴らしい風景だ。
だが島の人々は「退屈だ退屈だ」と言ってニュースに飢えている。カラムの行動もそこから発しているものなのだろうか?

閉塞感、分かり合えない人、ボタンの掛け違い、誤解、エスカレート・・・。
昨年の自分に起こったうつに至る人間関係を思い出した。

映画としてはちょっと難解かな~詩的な要素が強いか? ★4/5
ちょっと観る人を選ぶ映画かな?


岡田斗司夫氏が言っていたタブーとは何を指していたのか?ユーチューブをちゃんと見てみよう。